耳抜きのコツ
今日は「耳抜き」のコツについてご紹介。

当店のお客様でも、最初からサクサク耳が抜ける人というのは、全体の50%もいないぐらいではないでしょうか?やはり皆さん、ダイビングを始めるときに最初に苦労するのが、この「耳抜き」です。

まずはそのメカニズムについて。

「耳抜き」とは鼓膜の内側と外側の圧力を同じくする「圧平衡」の一つです。

口、鼻、耳は繋がってるから、なぜに「圧平衡」が必要になるのかというと、実は、鼻と耳を繋ぐ鼻管が通常は閉じた状態であるため。これを、鼻に息を送り込んだり、唾を飲み込んだりして、この耳管を動かして、空気を通すことが「耳抜き」になります。

なんとなくイメージはできたでしょうか?


たまに、自分の鼻息で鼓膜を押し返すことだと思っている人が多いけど、それは間違いということになります。だったら、唾を飲み込むぐらいでは耳は抜けませんからね。

で、「耳抜き」が上手くできないダイバーというのは、この耳管が生まれつき細いか、緊張のため硬くなっていると考えられます。前者はもうどうしようもないので、基本的にこの後者を上手く解消してあげることが「耳抜き」を成功させるコツになります。

ちなみに私自身、鼻をつまんで行うバルサルサ法しか出来なので、この方法に限って説明することにします。

バルサルサ法については、下記のページで確認して下さい。
「泳げない方、初めてのダイビングに不安な方へ」で詳しくやり方が書いてあります。
https://www.rifiediving.com/license-ccard/

この他にも、唾を飲み込んだり、アゴを動かすという方法もあります。個人差があるので、バルサルサ法で抜けない人はこちらもチャレンジしてみるといいでしょう。


それでも、どうしても抜けないという場合は下記の動作をやりながら、「耳抜き」をチャレンジしてみて下さい。

まずは、首を左右に、肩を回して、リラックスした状態を作ります。重いダイビング器材を背負うとどうしても肩に力入り気味。これでは耳管が硬くなってしまいます。

次に抜けないほうの耳を上に上げるようにして、首の筋を思いっきり伸ばすようにします。これで耳管が多少は動きやすくなるはずです。

あとは、アゴを引いたり、伸ばしたり、アゴの角度を変えてやることによって、耳管のねじれや歪みを補正して空気が通りやすくします。

これでもどうしても抜けん!という方には最終手段。一度、水面に浮上して、しっかり鼻をかんで通りをよくしてから、もう一度「耳抜き」。これでも駄目な方は、その日のダイビングは諦めたほうがいいかもしれません。


「耳抜き」に関しては、陸上でも何度か練習しておくことが大切です。耳管が柔らかくなるので、水中でも抜けやすくなります。

それと、毎回、耳が抜けづらいという方は、朝からガムを噛んでおくのもオススメです。アゴを動かすことによって、耳管が動きやすくなります。


ちなみに、耳が抜けないままダイビングするとどうなるか知ってますか?

スキンダイビングなどで急激に潜降する場合は鼓膜に穴が開くことはありますが、ダイビングのようにゆっくり潜降する場合は、鼓膜が損傷することは少ないです。

その代わり、鼓膜の内側の中耳にリンパ液などの滲出液が溜まってしまうことがよくあります。いわゆる、「滲出性中耳炎」という症状です。

鼓膜に圧力がかかり破れそうになると、鼓膜の内側から滲出液が異常分泌され、それで「圧平衡」します。水中でも鼓膜の痛みはなくなるのですが、陸上に戻っても、その滲出液はなかなか吸収されないので、耳の聞こえが悪くなったりします。

しばらくすれば治る場合もありますが、雑菌などがそこに入って炎症を起こすと、本当の中耳炎になっていまうので、一度、耳鼻科の診察を受けることをおすすめします。軽度であれば、滲出液を抑制する薬を服用するだけで治ることが多いそうです。