今日は、ダイビング中に他の人よりも空気消費が早い方へのアドバイス。かなり長文なので心して読むように。

ポイントは4つ。

  1. 空気は大切にゆっくりと呼吸すべし!
  2. 無駄なウエイトはつけない!
  3. 水中ではゆっくりと確実に動くべし!
  4. BCDのエアーも節約すべし!

一番重要な1.から。

最初のダイビングライセンス講習のときからインストラクターに口をすっぱくして言われていることかと思います。でも、呼吸は絶対に止めるなと言うし、どうやってやるんだ!って思いますよね。

まず呼吸とはなぜ必要なのか?について。

当たり前ですが、肺の中の二酸化炭素の多い空気を排出して、フレッシュな空気から酸素を吸収するため。皆さん、知っていると思います。
そのためには、当然、二酸化炭素の多い空気をしっかり出し切って、フレッシュな空気をたっぷり入れたほうが酸素の吸収がよくなります。

浅い呼吸をしているダイバーは、ちょうど半分ぐらい飲んだぬるいビールに新しいビールを継ぎ足すようなものです。全部飲みきってから、キンキンに冷えたビールをジョッキ一杯に入れて飲むほうが断然ウマイですよね。

ただ、いつものペースで、たっぷり吸って、たっぷり吐いていては、肺活量のある人は空気消費量がさらに増大してしまいます。

ここで大切になるのが、その呼吸のペース。

できるだけゆっくり吸って、ゆっくり吐く。
ちょうど呼吸の回数をぐーっと減らすようにするけど、1回1回の呼吸はしっかりとするように心がけます。
少なくともダイビング中は、陸上で鼻呼吸している回数よりも増えないように気をつけましょう。

これにもちょっとコツがあって、吸いすぎないこと。
イメージは軽く吸って~、しっかり吐くって感じ。ちょうど7ぐらい吐いて、3ぐらい吸うって感じに。必ず、吐いてから吸うようにするのもポイントですね。


2.については意外とあまり考えていないダイバーの方が多いのに驚きます。

うちのお店にも、ずーっとダイビングライセンスを取ったときのウエイトのままで、「多少、重いんだけどまあいいや」って方がよく来ます。

これから登山に行くのに、腰にペットボトル大をぶら下げて持って行く人はいないでしょう。

ダイビング中も、たかが1kgのウエイトでもかなりの体力が余分に使い、それは酸素の消費、つまりは空気の消費につながります。
それと、常にマイナス浮力の状態となるので、たえずBCDに空気が入っている状態で、少しの深度変化でも頻繁にインフレーターで空気の出し入れを操作することになります。

先の4.でも詳しく説明しますが、これもかなりの量の空気を消費してしまいます。

聞いた事無いってダイバーもたまにいますが、1.が意識できている人は適性ウエイトチェックをもう一度やってみましょう。
1kg、2kg、多い人では3kgぐらい減っちゃう人もいるぐらいですから。

そもそも適性ウエイトのチェックって???

オープンウォーターダイバーのテキストだと、BCDから全部空気を抜いて、普通に呼吸をして息を止めて水面が目の高さにくるくらい。
さらに、一言・・・、シリンダーの空気消費量を考えて、プラス1kgから2kgして潜ると書いてあります。
だったら、ウエイトチェックしてからさらにウエイトを追加して潜るってことになるのです。
ただ、実践的に言えば、ダイビング終了間際の安全停止(水深5m)くらいで、BCDの空気を全部抜いた状態で、楽に呼吸だけでホバリングができれば適性ウエイトだと自分は思います。

基本的にダイビングは最初も最後もBCDの中の空気は全部空になってるのが正しい!

ちなみに、インストラクターがゲストのウエイトをざっくり見積もる方法は、5ミリフルのウェットスーツでスチールタンクで(体重)×10%-2kg~4kg、アルミタンクではプラス2kg~3kgです。

フードベストを着込んだ場合は、さらに1kg増といったところです。
ベテランのダイバーだとノーウエイトという人も少なくはありません。ウエイトつけなくてもいいんですか!?って話もありますが、もちろん、いいんですよ!


3.は性格上の問題もありますが、とにかく水中では落ち着いて動くことです。

早く動こうとしても水の抵抗は大きく、思うように動けないばかりか、それによって空気の消費が増大してしまいます。
極端な話を言えば、子供の頃にスローモーションでけんかごっことかやった思いますが、まさにその感覚で動くのが基本です。

特に20m以上深いところでは、意識してゆっくり動く必要があります。

水深30mのときの呼吸は、水深10mの呼吸の2倍も多く空気を消費してしまいます。
私は、深い場所で見られる生物がハゼが多いということもありますが、フィンキックは最低限に、水底を這うように動いています。


4.は意外と知らないダイバーが多いと思います。

やることはとっても簡単で、BCDのインフレーターは使わずに、全てオーラル(呼吸)で吹き込んでください。
あ、まだダイビングに余裕の無い初心者の方はマネしないように・・・。

BCDの容量はだいたい12L~20Lぐらいあります。
その2割でも3L~4Lぐらいになり、1回の呼吸量が0.5Lとすると、水深20mでは、なんと18回から24回も呼吸するのと同じだけの量になります。
その分を自分の吐息で補ってしまえば、少しは空気の消費を減らすことができます。

って、もっともらしいことを書いてますが、実際は微々たるものです。

けれども、この少しの空気も無駄にしないエコスピリットこそが、究極の空気節約術だと思います。

うちの受講生でも、平均水深8mぐらいで40分で空気が残り少なくなっていた人が、この方法で60分以上、余裕を持って潜れるようになっています。
50ダイブ以上潜っているけど、さっぱり空気の持ちがよくならないという方、是非おためしあれ!