もうそろそろ夏も終わって、沖縄本島のダイビングショップも一段落ってところかと。
そんな12月頃から増えてくるのが「コブシメ」。
沖縄の方言では、「クブシメ」とか呼んだりもするけど、いわゆる甲イカの仲間。本州では紋甲イカが有名ですよね。
夏場はあまり見かけないけど、ちょうど水温が下がり始めるこの時期からちらほらと見かけるように。
大きさはまさに手のひらサイズから、デカイやつになると50センチオーバーの巨大なものまで。
もやは、カメやサメと並ぶ大物の一つに・・・。
コブシメの面白いところは、やはりその体色変化。
平常時は岩などに擬態した迷彩カラーリング。
ガイド的にも意外と見つけにくかったりもする。
中には砂の中に半分埋もれて擬態してる個体もあったりしますが。
で、興奮するとこのように真っ白に変化するのだ。
時間にしてまさに0.5秒くらい。
こうなっちゃうと、あっという間に逃げてしまうので、すかさず写真を撮るのがポイントだ。
コブシメは結構、臆病な生き物だったりする。
なかなか接近しての撮影は難しい。
でも、ちょっとした技を使えば、結構寄れるのでご紹介。
- 1.コブシメを見つけたら、「見てないよ~」ってフリをする。
- 2.すばやく水深を上げてコブシメの死角となる真上2mくらいに移動する。このときにカメラのモード設定をすばやく済ませておく。
- 3.そのまま真下に潜降して、バシッと頭上から一枚。
- 4.あとはコブシメの後ろに回りこむのも効果的。コブシメは後ろには速く動けるけど、前方向にはあまり俊敏には動けないのだ。
色の変化も面白いけど、1年を通してその生態を観察することもできる。
ダイバーがその繁殖シーンを見ることができる生物ともいえる。
水中生物の中でもなかなかそういったシーンを目にできる生物は少ない。
まずは交接から。
ん~、情熱的なディープキスですな。
こうなっちゃうと、かなり寄っても逃げません。
だからといって、悪戯しないようにしてください。
そして、しばらくすると産卵シーンも。
枝状のサンゴの中に一つ一つ大事そうに腕を伸ばして産み付けていきます。
大きさはちょうどピンポン玉よりもちょっと小さいくらいかな。
こういったシーンが目の前で見れたりするけど、決して邪魔しないように気をつけようって。
交接、産卵とくれば、やはり見たいのがハッチアウト。
こちらは4月、5月になってからが多い。
毎年、コブシメが産卵するサンゴはほぼ決まってるので、時期になり、そのサンゴの中を覗くと、卵がいっぱいになってるのだ。
卵は最初は真っ白、徐々に半透明になってきて、中に小さなコブシメが動いているのが肉眼でも分かるようになる。
そしてハッチアウトというわけだ。
まあ、これを目にするにはとにかく待ちが必要。
そろそろかな~って思っても、
1週間ぐらい待たされることもあったりするので、我々ダイビングガイドであっても、その瞬間を目にするのは難しい。
この生命の瞬間に立ち会えたダイバーは幸せといってもいいだろう。
現在、自分が確認しているコブシメの産卵ポイント。
チービシ諸島
神山南
慶良間諸島
パライソ、野崎、6番岬、7番岬、唐馬No2
沖縄本島
大度海岸、山田ポイント
このほかにもまだまだあるとは思います。
いつかコブシメのハッチアウトがお目にかかれることを~。